当ブログをご訪問いただき、ありがとうございます。管理人のりぜぶると申します。
今回はジョン・ルコムニク 、ジェームズ・P・ホーリー 著の「良い投資」とβアクティビズム MPT現代ポートフォリオ理論を超えてという書籍を読んだ感想をまとめました。
非常に難解な書籍であり、正直に言って1回読んだだけでは理解できない箇所もあります。そのため今後も何度か読み返し、理解を深めるつもりです。
解釈
以下が現在の解釈となります。
現代ポートフォリオ理論(MPT)は、リスクをボラティリティで評価しているため、現実世界でのリスクを反映しておらず乖離している。
また、MPTは気候変動、カントリーリスク、感染症などのリスクの源泉に無関心であり、システマティックリスクやシステミックリスクに対応できない。しかし、投資家にとっては、企業個別の株式リスクよりも考慮すべきである。
このような状況下でESG投資に注目し、社会的責任を果たす企業への投資を促すことで、社会全体に良い影響を与えリターンを得ることを目指す。
ESG投資は、環境、社会、ガバナンスの観点を踏まえた投資であり、企業の社会的責任や環境に配慮した事業活動を評価している。
βアクティビズムという考え方では、企業個別のリターン・超過収益(α)に着目するのではなく、社会・市場全体からβに作用を及ぼすことが重要(最大リターンを得られる)と考えられており、その観点からESGに基づいて、社会的課題解決のためβに対してポジティブかネガティブかを判断することが重要だとされている。
著者は従来のMPTの考え方とは異なり、市場全体の成果リスクは投資家が影響を及ぼせるものではないという考え方とは異なる。
企業個別の株式価値ではなく、社会全体という観点で社会の持続性にポジティブになる投資を行うことでポートフォリオのβに作用し、パフォーマンス向上につながると主張している。
そして、このような投資は社会全体が正しい方向に向かうことにもつながるとしている。つまり、著者はMPTの考え方とは異なり、単にポートフォリオのリスクやリターンだけを考慮するのではなく、社会的・環境的な観点から投資を行うことが重要だと主張している。
とてもざっくりではありますが、以上の解釈となります。
相違点などがあればぜひ教えてください。
用語
私自身この書籍を読む上で苦戦した点は、専門用語が頻出し理解できない箇所が多かったことでした。
そこで、私が本書を読む上で調べた用語を以下に記載します。
ESG
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素から構成される、企業の持続可能性に関する指標
α
ベンチマークと比較した企業固有の動き
β
市場全体と連動したポートフォリオあるいは個別企業の動き
システマティックリスク
分散不能な市場全体に影響を与えるリスク
システミックリスク
環境・社会・金融システムから生じるリスク(本書での区別)
インデックスインクルージョン効果
指数(インデックス)に採用された銘柄の需要が増加して株価が上昇する現象
フォーリンエンジェル(堕天使)
投資適格からジャンクに格下げされた債券
ライジングスター(希望の星)
ジャンクから投資適格へ格上げされた債券
マテリアリティ
企業が事業活動において報告すべき重要な項目や課題
PRI
投資家の意思決定や分析にESGの観点を考慮して投資することを求めたガイドライン
ユニバーサルオーナー
巨額の資産を分散して運用する長期投資家
ESG評価の高い企業
実際にESG関連の企業とはどのような企業があるのか、四季報を元に記載します。
9432 | 日本電信電話(NTT) |
---|---|
6645 | オムロン |
8630 | SOMPO HD |
9433 | KDDI |
8058 | 三菱商事 |
7203 | トヨタ自動車 |
8031 | 三井物産 |
8766 | 東京海上HD |
8316 | 三井住友フィナンシャルG |
8601 | 大和証券G本社 |
個人的にNTTやKDDIは、どこかのタイミングでポートフォリオに組み込みたいと考えていましたので参考になりました。
私はESG評価が高いというだけで投資先を決定することはないかと思いますが、判断材料の一つにしていきたいです。
まとめ
本書は私が最近読んだ中でも難解で玄人向けな本でしたが、ESGが重視される背景やMPTの課題について理解を深めるのに役立つと感じました。
ESGを投資に取り入れるかどうかに関わらず、ESG推進の考え方を知るためにも本書はおすすめです。
何事も戦略的に実行するためには、まず知っておくことが重要です。知らないから実行できないのと、知っていて実行しないのとでは意味合いが異なると考えています。
私自身、まだ理解できていない部分がありますので、これからも読み返しながら理解を深めていきたいです。
本書を読んで投資方針を変更するわけではありませんが、選択肢を知ることが重要だと感じました。今後もこういった書籍を読んで、様々な考え方を糧としながら自分の投資方針を練り上げていくつもりです。
以上で今日の記事を終わります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。